01 — なぜ混ぜるか
ブレンドは「不足を補う」のではなく「方向を作る」
ブレンドの目的を「弱い豆を強い豆で隠す」ことだと考えていると、設計を間違えます。良いブレンドの本質は、単品では到達できない味の「方向」を、複数の素材を組み合わせて作り出すことです。例えば、エチオピアのフローラルさにブラジルのナッツ感を重ねると、エチオピア単独では物足りなかった「厚み」が生まれ、ブラジル単独では味気なかった「華やかさ」が立ち上がります。1 + 1 が 3 になる、それがブレンドの妙です。
同時にブレンドは、特定産地への依存リスクを下げる役割も果たします。ある国の収穫が悪い年でも、複数産地のブレンドは大きく味を崩しません。エスプレッソ用ブレンドが多くの場合 3〜5 産地で組まれているのは、味の安定性と経済性の両方を担保するためです。